センセイと一緒【完】
言い、柊史は踵を返してすたすたと昇降口の方へと歩いていく。
首を傾げる鈴菜の隣で、和泉が口を開いた。
「兄貴は大学の時、遺伝子工学を専攻しててね。ちょっと特殊な研究だったみたいで、今もそっち方面からよく声がかかるんだ」
「……」
「今は先生やってるけど、今でもいろいろな研究所や製薬会社から引き合いがあってね。まぁ一生、食いっぱぐれることはないだろうね」
「……へぇ……」
柊史の意外な一面に、鈴菜は驚いて声を上げた。
昔から生物が好きというのは知ってはいたが、そこまでハイレベルなことをしていたとは。
驚く鈴菜に、和泉はくすりと笑う。
「昔から、兄貴の頭の中は変わってないよ。見てくれは変わったかもしれないけど、中身は同じさ」
和泉は柊史が歩いていった方を見ながら、目を細めて言う。
……どこか楽しげな、懐かしげなその横顔。