センセイと一緒【完】
「ちょっと聞きたいんだけど」
「……」
「あんた、芹沢さんのファンなのに、なぜ直樹君にまで色目使ってるの?」
「私は、色目なんか……」
と言った鈴菜に、浜田さんはキッと鋭い視線を投げる。
……その、憎しみに満ちた表情。
鈴菜は背筋が凍るような気がした。
「直樹君は優しいから、あんたみたいな子にも優しくしてくれるけど。……あんた、何か勘違いしてるんじゃない?」
浜田さんはトン、と鈴菜の肩を押す。
トイレの壁に背をぶつけ、鈴菜は眉をしかめた。
そんな鈴菜の髪を、浜田さんは力任せにぐいと掴む。
「……っ、いたたっ」
痛みに涙が滲む。
しかしそれ以上に、胸が痛い。
突然のことに、鈴菜の心は動揺し悲鳴を上げる。