頭痛×誤解
でも、こんな所(人気はないが、階段だ)で吐く訳には
「うえええええっ」
理性も何にも無視して、
突然えずいた。
そして、
ぽとん。
皮膚色の、何かを吐き出した。
そいつは、くるりとこちらへ向く。
大きな目が、ひとつ、顔らしき部分の一面に張り付いている。
「ああ、苦しかった」
そいつは、言うと階段を跳ね上がっていった。
私は少しの間呆然として、
頭痛がなくなっているのに気づいた。
はっとして、教室に戻る。
エイタくん。
謝らなきゃいけない気がする。
そうだよ。
嘘なら、もっとマシな嘘をつくはずなんだ。
はあはあ。
私の出現に、エイタくんは顔をあげる。
エイタくんは、私に笑いかけている。
「さっきの、先生にも見えた?」
見えたですって?
私が吐き出したのよ。
・・・でも言っても信じてもらえないかもしれない。
私は苦く笑った。
信じてもらえないであろうことを、堂々と言える勇気を持った、
エイタくんを、すごいと思った。
おわり。
× × ×
なんか、頭が痛かったので。