気がつけば愛でした
マンションに到着し、駐車場に車を止めてから、グッタリする高柳を部屋まで送り届ける。
3度目の高柳の家は、以前と変わらない。
むしろ、前よりも生活感が薄れている気がする。
「お水持ってきますね」
ベッドに座り、構わずスーツを脱ぎだした高柳に、静奈は慌ててリビングへ向かった。
冷蔵庫から水を出していると、上半身裸の高柳が服を片手に寝室から出てくる。
「た、高柳さん!?」
その半裸姿を直視して一気に顔が熱くなる。
高柳はぼんやりしながらも風呂に入ってくると言った。
「入って大丈夫なんですか!?」
「ベタベタして気持ち悪いし。あぁ、橘。ありがとう。後は大丈夫だから」
そう言ってバスルームに消えたが、あんな状態で大丈夫だと言われても、素直に帰れるわけがない。
とりあえず、氷枕を用意して彼が出てくるのを待った。
「あれ?もう大丈夫って言ったのに。」
比較的すぐにシャワーから上がってきた。
ダイニング机にあった水を飲み、熱を帯びた瞳で静奈を見る。
濡れた髪に、熱のせいで潤んだ瞳。不謹慎だと思いつつも、心臓が激しく動いた。
「心配だったので…。もう寝て下さい。」
ときめいた気持ちに気がつかれないように、高柳に氷枕を渡す。