気がつけば愛でした
風呂からサッパリ上がると、玄関で物音がした。
その音に高柳が振り返ると、開いた玄関から静奈が入ってきた。
「あ!高柳さん!もう大丈夫なんですか!?」
「橘?帰ったんじゃないのか?」
「あ、ハイ。一度着替えに帰ったんです。あの、迷惑だとは思ったんですけど、様子が気になって…。すみません、少し鍵をお借りしました。」
申し訳なさそうに頭を下げる。
「あの、迷惑ついでに、何か作ろうかと思って…」
静奈は控え目に言ってみた。彼女でも何でもないのにここまでするのは図々しいかなとは思った。 迷惑かな、気持ち悪いかなって。
しかしどうしても高柳をほっておくことが出来なかった。
「迷惑に思うわけないだろ…。」
「え?」
「いや。ちょうど腹減ってたんだ。」
その言葉にホッとしたように微笑み、キッチンへ向かう。
静奈は雑炊を中心に、消化によさそうな食事を作ってみた。
「美味しい。橘、料理上手いな。」
「本当ですか?良かった」
高柳は素直に感想を言った。
短時間できちんと作れているのだから慣れているのだろう。
静奈は安心したように笑った。