気がつけば愛でした
「私、これ片付けたら帰りますから、高柳さんはゆっくり休んでいて下さい」
静奈は空いた食器をキッチンへ運ぶ。
洗い物を始めると、高柳が寄ってきて隣に立った。
「ありがとうな。」
「え?」
「色々ありがとう」
素直にお礼を言う高柳に思わず手が止まる。
見上げると、高柳が優しく見下ろしていて、初めてみるその瞳にドキンと心臓が鳴った。
目を合わせたまま、高柳がシンクに手をかけ、グッと身体を寄せた。
触れそうなくらい近いのに、静奈は縛られたように身体が動かない。
水の音だけが部屋に響き、無言の高柳がソッと静奈の髪に触れた。
思わずビクッと反応してしまう。
「橘…」
そう低く呟いてさらに身を寄せた。
その時。
ピンポーン、ピンポーン