気がつけば愛でした
突然のインターホンに高柳はハッとする。
何度も鳴るため、静奈から離れてモニターへ向かった。
「っ…」
静奈は思わずへたり込みそうになった。
何…今の?
今チャイムが鳴らなかったら、確実にキスされていただろう。
なのに、身体が動かなかった。
いや…むしろ…少し期待していたように思う。
なんで…?
私…キスを待ってた?
静奈が混乱気味に自問自答している側で、高柳がモニターを見て舌打ちをした。
その相手を無視しようかとも思ったが、出てしまっては仕方ない。
玄関へ行って扉を開けた。
「律!熱出したって大丈夫か!?」
「ええ、でももう大丈夫ですから。」
「入るぞ」
「は!?いや、ちょっと!」
高柳の声を無視しつつ遠慮なしに部屋に入ってくる。
「昨日、静奈ちゃんから聞いて心配になってさ。」
「もう大丈夫ですから…」
「遠慮すんなよ。」
近付いてくる聞き覚えのある声に静奈は振り返った。
「遠慮してないし」
「可愛くねぇなぁ。具合悪い時は頼れっつったろ」
会話しながらリビングに入ってくる姿を見て、静奈はやっぱりと思った。
「しゃ…」
「兄弟なんだし。」