気がつけば愛でした



「あ…すみません」



そう言って慌てて確認すると新着メールが一件届いていた。



「え…!」



開けてみるとタイミングのいいその名前に驚く。
メールは高柳からだったのだ。




『この間のお礼に食事でも奢る。都合の良い日教えて。』




絵文字もない完結な、でもちょっと俺様っぽい部分が見えるそのメールは紛れもなく高柳からだった。

お礼のくせに、ちょっと偉そう。



「何?高柳から?」

「え!?」



上村に突然そう言われて驚く。携帯を覗いてきたわけではないのになぜわかったのだろうか。



「何か嬉しそうだったから。」

「そんなこと…」



嬉しそうに見えたのだろうか?

携帯をしまいながら、戸惑いを誤魔化すように烏龍茶に手を伸ばす。



「高柳が好きなの?」

「!?ゲホッ。えぇっ!?」


驚いて思わずむせる。
そんな静奈を上村はチラッと見た。



「高柳が好きなの?」

「何言ってるんですか!」

「そう見えたから。」



そう見えた!?
その言葉に動揺する静奈。

好き?高柳を?



「どうなのかなって思って」

「……わ、わかりません…」



そう呟いて下をむく。
高柳はずっと苦手な人だった。
最近、高柳に持っていたイメージが変わったばかりだ。
好きとか…考えたことはなかった。

ただ…と静奈は唇に手を触れる。

キスは嫌ではなかった…?

何だろう。気持ちがざわつく。



「…ならさ」



上村の声に考え込んでいた思考から呼び戻される。

上村が真剣に静奈を見ていた。



「本気で俺と付き合わない?」












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