気がつけば愛でした
それをテーブルに置く。
「この酔っ払いめ。言ったろ。酔った女に手を出す趣味はないって。」
確かに初めて高柳の家に泊まった時、そんなことを言っていた。
しかし、いくら酔いに乗じて言ったとはいえ、やはりショックだった。
思わず涙ぐみそうになった時、高柳が突然、静奈の身体に腕を回し、グイッと持ち上げた。
「きゃぁっ!?」
突然のお姫様だっこに静奈は驚いて声を上げる。
「うわ、軽っ」
そう呟く高柳の顔が目の前にあった。
すぐ目の前にその整った顔立ちがある。さらに背中や足に高柳の手や身体の体温を感じ、自然と顔が赤くなった。
静奈はプチパニックだ。
「た、高柳さんっ!?」
「酔っ払いは寝なさい」
そう言って、暴れる静奈を隣の部屋にあるベッドまで運ぶ。
そしてフワリとベッドに横に寝かせたのだ。
「水はもう飲まなくていい。酔っ払ってあんなこと言う奴は二日酔いに悩まされるんだな。」
布団をかけながら、呆れたように言う。
やっぱり酔いに乗じてはダメか。
自分からは二回もしたくせに。
友香さんがいるから?
静奈はショックで泣きたくなるのを目を閉じることでこらえた。
「寝ます…」
「あぁ。そうしろ。」
そう言いながら静奈の頭をそっと撫でる。
キスはしてくれなかったくせに、そんな所は優しいんだな。
何度も撫でてくれるその手にいつしか安心し、眠りに誘われていく。
眠りにつく瞬間。
何かが唇に触れた気がしたが、確かめる前に眠りの世界へと入っていった