気がつけば愛でした
翌朝。
起きると高柳の姿はなく、机の上にはキレイな字でメモが残されていた。
『鍵は閉めた後、玄関ポストに入れておきます』
簡潔なメモ。
メモの通り、玄関ポストを開けると鍵が入っていた。
あれから直ぐに帰ってしまったのだろうか。
静奈は二日酔いで痛む頭を押さえる。
二日酔いで痛む頭が、昨日の事が夢ではないと物語る。
冷蔵庫を開けると昨日の水が入っていた。
「夢じゃないよね。…私、最悪…」
頭が痛くなるなら、ついでに記憶も消し去って欲しかった。
不幸なことに、全部覚えている。
あんなこと言うなんて。あんな風に甘えるなんて。
酔っ払っていたとはいえ、高柳はどう思っただろうか。
「どんな顔して会えばいいのよ…」
今日のスケジュールを思い出し、静奈は泣きたくなった。