気がつけば愛でした
く…。
ドアが思いっきりあたった背中痛い。
謝ってくれてもいいんじゃないの!?
チラッと睨んでは見るものの、当の本人は静奈には目もくれず、黙ってコーヒーを入れている。
昨日の事なんてこれっぽっちも思い出せないけど、ここはもう悪くなくても謝ってこの場をやり過ごすしかなさそうな気がする。
というか、こうして高柳の家にいるのだから、少なからず迷惑はかけているのだろうし。
そう思うのにも理由があった。
これが高柳が遊び人だとか、チャラチャラした人だったなら色々疑うが、生憎、彼にはそんな浮ついた噂はなかったからだ。
いや、それだけで判断は出来ないのはわかっている。でも営業課のエースである社内の彼の評判がそう思わざるを得ない。
むしろ、こんなに整ったルックスなのに女子社員の誘いは受けず、それが逆に良いと人気だ。
非は明らかに静奈にある。そう思った。
そして、最初の土下座に戻るのだ。