気がつけば愛でした





――――――――…………………



「失礼します」



声と共に秘書室の入り口がノックされ、静奈はパソコンから顔をあげる。
そこには高柳がいた。



「高柳さん?どうされたんですか?」

「社長に呼ばれたんだ」


そう言うとすぐにそばにいた高杉秘書が社長室に内線をいれた。


高柳はすぐ社長室に呼ばれたため、静奈はお茶を用意して行った。

ソファーに向かい合って2人が座っている。



「失礼します」



2人にお茶出しをすると社長がニッと笑った。



「仲直りしたんだ?」

「えぇ!?」

「雰囲気が良くなってるね」

「そもそもケンカしてませんよ」



高柳は落ち着いて答えた。社長は意味ありげに笑う。

静奈は恥ずかしくなって急いで部屋を出た。


侮れないな、社長は。

ケンカした訳じゃないし、だから仲直りってわけでもない。


でも…。


ますます高柳がわからなくなったけど。


静奈は給湯室で溜め息をつくと、貴子がやってきた。



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