気がつけば愛でした
――……
高柳は嬉しそうにする友香を前にウンザリしていた。
仕事の帰り、流れで2人で食事することになったのだ。
今はその帰り道。
「律。おじさんは鮫島との買収には不満よ。ここでそっちが鮫島のリークを暴けば鮫島派の重役も考え直すわ」
「そうだな」
腕を絡めてくる友香を払う。
社長も知らなかったとはいえ余計なことをしてくれた。
友香が元カノだったと後で話したらかなり驚いていた。
しかし今更変更もしにくい。
仕方ないとはいえ…。
「でももう少しで尻尾掴めそうなんでしょ?」
「あぁ。」
関谷部長の件。
あれから高柳は営業課の書類やパソコンを確認し、動向を見たが、関谷部長の動きは怪しい部分があった。
リークの件はほぼ関谷部長で間違いないだろう。
しかし証拠がなかった。
考え込む高柳を友香は見つめる。