気がつけば愛でした
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しばらく医務室で寝ていた静奈はふらつく足取りでロビーへと降りた。
高杉秘書にも連絡をして、今日はもう帰ることにしたのだ。なんだかいろんなことが一気に起こった。
深い溜め息をつくとその行く手を遮られ、顔を上げた。
「元気ないわね」
「友香さん…?」
会社のロビーの入り口に友香の姿があった。
静奈は思わず動揺して声が震える。
打ち合わせに来たのだろうか。いつみても仕事の出来るキャリアウーマンの雰囲気が出ている。
友香とはたまに顔を合わすことはあったが、愛想よく笑顔を向けてくれていた。しかし今目の前にいる友香の表情は険しい。
「良いところで会えたわ。ちょっといいかしら?」
友香は有無を言わせない雰囲気で静奈の返事を待たずに歩きだした。
仕方なくその後をついていく。
友香は会社の近くの喫茶店に入って行った。