気がつけば愛でした
「ごめんなさいね。忙しいのに。」
「いえ…。あの、何かご用でしょうか?」
静奈は目の前の友香に聞いた。
正直、友香とは会いたくなかった。しかし友香は静奈に会うつもりだったようだ。
友香は運ばれてきたコーヒーを見つめ、静かに口を開いた。
「橘さんは、律と付き合っているのかしら?」
「え…?」
「もしそうなら別れて欲しいの。」
友香は真っ直ぐ静奈を見つめてはっきり言った。
突然の事で静奈は唖然として、言葉がでない。
「私と律の結婚話が出ているのはご存知かしら?」
「はい…」
「律に持ちかけたのは私よ。私達、付き合っていたの。」
嫌味っぽく言うわけでもなく、淡々と告げてくる。
静奈は黙ったまま視線をテーブルの上に移した。
「私はまだ律が好き。別れたことを後悔しているわ。だからやり直したい。それがまず一つ」
「一つ?」
「もう一つは、私達が結婚すればうちの会社もそちらの会社も今後、安泰だということ。」
静奈はハッと友香を見る。友香はわかるでしょ?と呟いた。