気がつけば愛でした
友香は歩きながら唇を噛んだ。
静奈が律の秘密を知っていたことが気に入らなかった。
友香自身、社会人になってから律が社長の弟と言うことを噂で知り、無理やり聞き出したのだ。
それなのに…。
そして、友香が静奈に会いに行くきっかけになった電話を思い出した。
『悪いけどお前とは結婚しない。そちらの社長にも話をしにいくが、お前に気持ちはないのに結婚なんて出来ない。』
『律。これは会社のためでもあるわ。利益がでるのよ!?』
『確かにな。だが悪いけど、ウチの会社はこれくらいで傾いたりしないんだ。』
『律…。』
『ごめん、友香。』
『…あのこなの?気がついていたわ。あなたがあのこが好きって。そんなにあのこがいいの?』
『友香には関係ない。ただお前とは結婚しない』
どうして…。
あなたは何もわかっていない。
これは会社のためでもあるのに。
あんなこ、会社の利益にもなりはしないっていうのに。
それなのにあんなこを選ぶと言うの?
私達はもう二度と戻れないと言うのね…。