気がつけば愛でした




会社の近くの居酒屋に入る。幸い奥のテーブル席が空いており、そこに通された。



「お前と2人きりで飲むのは初めてだな。」

「そうですね。あ、部長何飲まれますか?」

「ビールにしとく」



高柳は通りかかった店員にビール2つと料理をいくつか注文した。



「で?浮かない顔をしてたけど何かあったのか」
「あ、いえ…大したことじゃぁ…」

「そうか?そういえばKグループのお嬢さんと結婚するんだってな?」



運ばれて来たビールを飲みながら聞いてくる。
高柳は苦笑しながら首を振った。



「彼女とはしません。ただの噂ですよ」

「へぇ。まぁ、お前のルックスなら言い寄ってくるお嬢さんなんて腐るほどいるだろうな。」

「腐るほどなんていませんけどね。彼女とは昔付き合ってたんですよ。それで。」

「復縁を求められたか」
「えぇ。そんなとこです。」



高柳はそう言ってビールを飲む。部長はKグループとの噂について聞きたかったのか。
詳しい情報を聞き出そうとしているのだろうか。

そんなことが頭をよぎる


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