気がつけば愛でした
関谷部長を疑って話をしなければならないことが悲しかった。
「そうか。お前も大変だな。でもさ、一番は自分の気持ちに素直に行動することだよ。」
「そう…ですね」
「偽ると、後で取り返しのつかないことになる」
下を向きながら低く呟くように関谷部長は高柳に言った。
「…部長は、自分の気持ちを偽ったことがありますか?」
高柳の静かな問いかけに顔を上げる。
その瞳が揺れた気がした
「…さて、どうだったかな…。俺の本当の気持ちすら忘れてしまったよ」
部長は悲しそうに呟いてグラスを空にした。