気がつけば愛でした
――――――……………
「そうか。残念だな」
「申し訳ありません」
高柳は立ち上がり、目の前の人物に頭を下げる。
目の前の人物―……Kグループ社長は苦笑した。
「いや、座ってくれ。こちらこそ友香が勝手に悪かったね。困らせてしまったようだ」
「いえ。友香さんのお気持ちは嬉しかったです。きっと3年前なら受けていたでしょうね」
「そうか。あのこも惜しいことしたな。」
Kグループ社長は可笑しそうに笑った。
高柳はKグループ社長に会いに行く前に、社長直々に呼び出されていた。
先日、友香に電話でハッキリ気持ちを伝えたことが耳に入ったのだろう。
少し緊張した面持ちで社長にあったが、社長はあっさり高柳の気持ちを理解してくれた。
どうやら可愛い姪の頼みが断れなかっただけのようだ。
「まぁしかし、そちらと同族になると安泰ではあったがね」
社長は苦笑しながら言った。しかし、
「そちらとは手を組んでいたいが、私は私でこの会社を何とかしていくつもりだ。」
「派閥があると聞きましたが…」
「あぁそれか。役員で鮫島に買収させた方がいいと言う奴がいてね。確かに派閥は出来ている。しかし私は鮫島に買収はさせない。この会社は私のものだからな。」
社長は高柳に向かってニヤリと笑った。その力強い笑顔に高柳は頷いた。