気がつけば愛でした
どこかで関谷部長が犯人でなければ良いなんて思いがあったため、正直、証拠を掴むのを渋っていた所はあった。
しかしそろそろ本腰を入れなければと思っていた所だったのだが、その証拠が向こうからやってきたのだ。
「で、これを見せてあなたはどうしたいんです?ただでこれは頂けないのでしょう?」
社長の言葉に友香はふんわり微笑む。
「さすが五十嵐社長。見抜かれていたんですね」
「…」
「律を、説得して頂きたいんです。」
友香は社長を真っ直ぐみて言った。
「説得?結婚のか?」
「えぇ。私達の結婚は会社の利益にも繋がる。まぁ、叔父様や五十嵐社長はそうは考えていらっしゃらないことも重々承知です。しかし、経営や利益の部分だけを考えると、この選択は本当は喉から手が出るくらい欲しいのではないでしょうか?」
その言葉に社長は目だけを友香に向ける。
「絶対に損はありません」
「俺は律の気持ちを無視は出来ない。」
「それは経営者としてですか?それとも個人的に?」
「…個人的に、だ」
五十嵐社長は友香に苛立ちを覚えた。
それと同時に友香の高柳への気持ちがよく伝わってくる。