気がつけば愛でした
きっと高柳がKグループ社長に呼び出されていることを知った上で、入れ違いにやって来たのだろう
そして経営者としての痛い所をつき、外堀を固めようとしている。
そして、
チラリと静奈を見る。
スカートを握りしめ、蒼白な顔で座っている。
静奈と高柳の関係に気がついているからこそ、彼女の前でトドメをさそうとしているのだ。
お嬢さん育ちなんだろうな。我が儘でズルいとわかっていても、欲しいものは欲しい。
自分の気持ちに忠実で羨ましくも思える。
「五十嵐社長、社長として考えて頂きたいんです。」
「…俺の考えによっては、この証拠は頂けないのかな?」
「…えぇ。考えによっては。」
五十嵐社長は深いため息をついた。
高柳に自分で何とかしろと言ったのに、高柳の知らないとこで関わってさまっているのだから。