気がつけば愛でした
自然と見上げる形になってしまった。
距離が近い。
間近で見た高柳は、やはり整った顔立ちで、思わず見入ってしまう。
シャツはまだネクタイをしておらず、チラリと見える男らしい喉仏と鎖骨が色っぽさを増す。
思わず顔が熱くなるのを感じて、視線を足下へ落とした。
「ただ、なんですか?」
努めて落ち着いた声で聞き返す。
頭上でクスッと笑う声がした。
「ただ、アンタがしたこと…俺は忘れないから。それだけは覚えておいてね。秘書課の橘静奈サン。」
「!?」