気がつけば愛でした
「ねぇ、本気で好き?」
友香がもう一度尋ねる。
黙っていた高柳がゆっくり口を開いた。
「そうだな…。アイツのことは、好きっていうのとは違うな」
「っ…」
呼吸が、止まるかと思った。
『好きっていうのとは違う』
頭を打たれたような感じかした。
そして静奈はいつの間にか駆けだしていたのだ。
もうあそこに居るのは堪えられなかった。
受付嬢に友香の携帯を預けると逃げるようにエレベーターへ乗った。
呼吸が苦しい。
ドキドキが止まらない。
走ったからなのか、話を聞いたからなのか。
「なんで…」
話を聞いちゃったんだろう。
自分でトドメをさしたようなものだ。
思えば、静奈は高柳から一度も気持ちは伝えられていない。
『好きとは違う』
高柳の本当の気持ちを聞いてしまった。