気がつけば愛でした



鬼の関谷と呼ばれていた頃を知らない静奈にとって、関谷は穏やかな部長に見えていた。



「アンタが渡辺グループとトラブったのも渡辺の秘書に事前に声をかけていたんだ。」

「え…上村さんの仕業だったんですか…?」



涙声で上村に問いかける 。まさかあれも上村の仕業だったなんて…。



「あそこの秘書とは仲良しなんだ。…まぁ、関谷がフォローするなんて予想外のことが起きたけど」



関谷部長は本当にフォローしてくれたのか。

情報漏洩と同時に起きたからてっきり関谷部長がしたものだと思われていた。



「でも関谷、社長にバレた。ってことは俺の事も確実にバレた。」



しかしちっともショックを受けてそうな表情はない。バレたらうちの会社はクビになり、鮫島にも行けないことはわかっていただろうに…。

いつかはバレると思っていたのではないだろうか。

静奈はそんな思いがよぎり、上村をまじまじと見つめた。



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