気がつけば愛でした
「律。後の事は俺に任せて2人はとりあえず帰れ」
「しかし…」
「高杉が警察に連絡してくれている。心配ない」
社長は上村の横に立ちながらそう言った。
高柳はチラッと上村を見る。上村は逃げ場がないとわかったのか青ざめてうなだれていた。
高柳は上村を殴りたい気持ちはあったが、社長がそれをさせないだろう。
高柳は静奈を立たせようとしたが、身体に力が入らないのか高柳にしがみついていた。
仕方なくそのまま抱き上げる。
「後で連絡します」
そう言って部屋を出る。 廊下に出てすぐに警察らしき男性たちとすれ違った。
エレベーターの中、腕の中にいる静奈は高柳にしがみついて軽く震えていた。
「橘?大丈夫か?」
高柳の問いかけに少し間があってから頷く。
しかししがみつく手に力が入ったのに気がついた。