気がつけば愛でした





―――――……………



「橘?」



ベランダの入り口には静奈が立っていた。

静奈の姿に高柳は驚く。


「どうした?眠れないのか?」



高柳が優しく聞いてくる。それに黙って頷いた。
広いダブルベッドに横になるが静奈は一向に眠れずにいたのだ。


ドキドキしてとかそんなんじゃなくて、ただ広いベッドに横になるというのがホテルでの出来事を思い出させる。


ひとりになりたくなくて起きてきたのだが…



「友香さんに…電話してたんですか?」

「ん?あぁ。お礼言っといたんだ。」

「そう…ですか…」



静奈は俯く。

友香と話している高柳の声が柔らかかった。それだけで静奈は胸が黒くなる気がした。
こんなに嫉妬深かっただろうか、と。




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