気がつけば愛でした
高柳を見上げる。
優しく見下ろしてくれるその瞳を、独り占めしたくなった。
今だけでも―――………
「橘…?」
静奈は無言で高柳に抱きつく。
頭上からは高柳の驚く声がした。
しかし拒まないから、静奈はその胸に頭をつける。
「ひとりだと…眠れないんです。…隣に居てくれませんか…?」
こんなこと言うなんて…恥ずかしくて死にそうだった。
でも、それでも今はそばに居てほしかったのだ。
「いいよ。」
高柳は低く呟き、静奈を抱き締める。
夜風に当たって少し冷えた高柳の身体は、今の静奈には心地よかった。