気がつけば愛でした
高柳に促され寝室に戻り、一緒にベッドに入る。
「隣にいるから、安心して寝ていいよ」
高柳は静奈に布団をかけながら微笑む。
静奈が頷くのを見て、照明を消した。
薄暗い中、ソッと高柳を見ると静奈に背を向けて横になっている。
広いベッド。密着はせずに2人の間には少し距離がある。
その距離が静奈にはたまらなく悲しく感じた。
「高柳さん…?」
「ん?」
高柳は振り向かずに返事をする。
「今日は…ありがとうございました。」
「うん」
「高柳さんに来てもらえて…嬉しかったです…」
呟くような静奈の声を黙って聞いている。
背中が遠いよ…。
静奈は無意識に高柳の服を掴んでいた。
「橘…、それは…」
高柳が動揺したような声を出して少し振り返る。
ハッとした静奈は手を引っ込め身体を起こした。