気がつけば愛でした
秘書課はその高杉と貴子と静奈の3人だった。
主に社長の秘書として仕事を中心とするが、他にも重役役員の外出同行や重役会議への参加、資料作り、他社との打合せの調整など細々とした仕事が多い。
今日も先輩である高杉が出ているため、貴子と静奈は秘書室に残り、重役や電話の対応、パソコンの事務処理に勤しんでいた。
事務処理に追われていると、キリの良いところを見計らったように突然貴子が顔をあげた。
「で?」
「へ?でって?」
静奈が間抜けな声で貴子を振り返る。
当の貴子は頬杖をつき、探るような目で静奈を見ていた。
「お姉さんに報告することがあるんじゃなくって?」
「ほ、報告…ですか?」
惚けたように言ってみたが、貴子はコロコロと椅子を転がし、静奈の隣に座った。