気がつけば愛でした





業績の上がらなかった事業所。

潰すことも考えた場所。


その九州の事業所で三年以内に結果を出さなければ解雇にすると言ったのだった。



「三年だけくれてやる。それで結果を出さなければ関谷は切る。それが俺の判断だ。」



重役たちは社長の決断に頷いた。



「彼は出来るでしょうか?九州の事業所は正直、赤字続きで我が社の言わばお荷物になっています。社長だって少し前までは無くすつもりでしたよね。」

「あぁ。最後のチャンスを関谷にかける。彼の営業能力は高い。その彼が三年やって、それでも業績が上がる見込みがなければ九州は合わなかったと考えてるしかないだろう」



本当にそれは関谷の最後のチャンスだった。


それは関谷自身がよくわかっていたのだ。


翌月から関谷は九州へ旅立った。


詳しい事情をしらない社員は、上村の責任をとり関谷が飛ばされたと思っている。






そして。




関谷が九州に行って二年後に、業績がぐんぐんと上がることになるのはまだ先の話である。






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