気がつけば愛でした
ある日、社長は高柳を社長室まで来るよう呼び出した。
「あぁ、高柳君。社長がお待ちですよ」
営業科に連絡を入れた高杉秘書がやってきた高柳に声をかけた。
デスクにいた静奈と一瞬、目があうと柔らかく目を細めた。
しかしそれも一瞬ですぐに表情を引き締める。
「?」
その表情をあまり見たことがなかった。
どこか緊張したような、何かを決めたような。
静奈は思わず高柳を見つめるが、社長室に消えていく高柳には呼び出された理由がわかっていそうだった。
とりあえず、お茶をだそうと立ち上がるとそれを高杉秘書が止めた。
「え?」
「いや、もう準備してあるから大丈夫だ。それより、しばらく社長室には電話を繋げないように」
「どういうことですか?」