気がつけば愛でした



それから二時間後、高柳が社長室から出てきた。

特に変わった様子はなく、ホッと息を吐く。


秘書課を通って廊下に出て行く高柳を追いかけた。



「高柳さん」



職場だから一応、苗字で声をかける。

振り返った高柳がフワッと微笑んだ。



「何?どうかした?」



静奈の頭をポンポンする


「あ、いえ…」



声をかけたはいいが、言葉が見つからずただ高柳を見上げる。


そんな静奈を見て苦笑した。



「あぁ、そうだ。今日、会議あるから一緒には帰れそうにないんだ。」

「そうですか…。」

「だから…」



と、スーツのポケットから何かを取り出す。



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