気がつけば愛でした
「惚けようったって無駄よ。昨日、高柳を呼んだのは私なんだから。」
「貴子先輩だったんですか!?」
驚きで声が高くなる。
そうか、貴子先輩が呼んだのか。
なんて事を…。
「そうよ。ってかアンタどこまで覚えてんの?」
「どこまでも何も…覚えてないんですよ…」
静奈はそう白状した。
覚えているのは貴子先輩の同期が偶然店に来て、一緒に飲んだあたりまでだ。
「やっぱりね。あの後、静奈はベロベロに酔っぱらっちゃって。あの同期に遅らせるのもちょっとマズいから、どうしたもんかと考えてさ、まだ会社にいるっていう高柳を呼んだのよ。」
なぜその同期に送らせてくれなかったんだ。むしろほったらかしにさせてくれた方がまだ良かった。
そう心の中でため息をつく。