気がつけば愛でした
「実は…律のことなんだが…」
「え…?」
ドキッとして社長を見返す。
暗い表情で高柳の話だと言われると不安が広がる。
「高柳さんがどうかしましたか?」
「昨日、夜に突然電話があってね。…副社長の件はしばらく保留にしてほしいと言われたんだ」
「え?」
「俺は今回の事件ももう社内ではすっかり落ち着いてきたし、そろそろ律を正式に副社長の身として迎えたいと思っていたんだ。しかし…」
「高柳さんが断ったんですね?」
「あぁ。静奈ちゃん、何か聞いてるかい?」
社長の質問には静奈は首を横に振った。
静奈でも初耳だった。