気がつけば愛でした


思わず掌の中の鍵をぎゅうっと抱きしめる。



「まぁ、もとから律が副社長の件に関して良い顔してなかったってのはあるけど…。俺は律と仕事を…経営をしたいんだ」
「社長…」

「静奈ちゃんから律に話してくれないか?」



社長の真剣な眼差しに困惑する。



「話は聞いてみます。でも説得出来るかは約束できません」

「説得してほしい」

「無理です」



社長は悲しそうに何で?と聞いてきた。


なんだか小さな子どもと話している気分になる。


「私は高柳さんが副社長になろうが、このままの営業マンだろうが関係ないからです」

「どっちでもいいの?彼氏が副社長だよ!?」

「役職なんか興味ないですよ。彼は彼ですから」


社長は静奈の柔らかい返事に面白くなさそうに膨れていた。












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