気がつけば愛でした
「時々、何か考えるような表情になっていたから」
「あ…」
バレていたのか。
社長から話を聞くよう言われていたため、切り出すタイミングを見ていたのだ。
静奈は聞くなら今だろうと思った。
「社長に…ね、言われたの」
「…何を?」
「その…律が副社長になりたがらないから、説得してほしいって…」
静奈がそう言うと、高柳は大きくため息をつく。
「全くあの人は…」
「いや、あの、社長は律と仕事したいって思っているから…」
「うん、わかってる」
高柳は静かに返事をした。