気がつけば愛でした



「あの人の気持ちはずっとわかってるんだ」

「じゃぁなんで…?」



静奈の言葉に考えるように下を向く。



「俺は、ただ遠慮してとかで副社長になりたくないわけじゃないんだ。社長が、弟である俺を副社長にして兄弟でやっていくのが夢だったと言ってくれた時は凄く嬉しかったし…」



社長がそんなことを…。

なんとなく想像がつくな。社長は高柳をとても可愛がっているから。


それをわかっていて辞退したのは…?



「ただ俺は…まだ現場で経験と実力をつけていきたいと思ったんだ」

「そうなの?」



静奈には意外だった。営業課のエースで成績No.1の高柳がそんなこと言うなんて。



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