気がつけば愛でした
静奈は高柳がそんな思いを抱えていた事に気がつかなかった自分を悔いた。
確かに高柳が忙しくて会えない日は何度もあったが、会えばいつも笑顔を向けていたから、そこまで深くあれこれ考えなかったのだ。
「社長の仕事の手伝いをしていた時も、まだまだ力不足を感じた。…だから、副社長になるのは今ではないと思うんだ。今なった所でやりきれるか自信はない。」
“自信がない上司には誰も着いてはこないだろ?”と高柳は笑った。
「律…」
静奈はたまらなくなり、高柳にしがみつく。
「静奈?」
「ごめんなさい。私…何も気がつかなかった。律の思いに気がつかなかった」
ギュッと抱きつく静奈をあやすように高柳は腕を回す。