気がつけば愛でした



「俺がここで働いていることは知らないんですよね?」

「あぁ…」

「じゃぁ、帰国している間は俺は同行をキャンセルして営業課でひっそり大人しくしていた方がいいでしょう。」

「…すまない、律…」



社長は申し訳なさそうに頭を下げる。



「止めて下さい。気にしてませんし。残業が減るから俺としてはラッキーですよ」



苦笑してそんな軽口をたたく。


実際、高柳としても会うことは避けたかった。


社長の母親にとって高柳は忌々しい不倫相手の息子。


いくら自分が経営に関わっていないからといっても、自分の旦那の会社であり愛息の会社にいると知れば激怒するだろう。



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