気がつけば愛でした
上品で気さくな人だ。
圭子は特に静奈を気に入ったのかよく話しかけていた。
「橘さんは付き合っている方はいるの?」
「え、あ、はい!」
突然、そう聞かれてドキンとする。
「何突然聞いてんの。ビックリしてるよ、静奈ちゃん」
「あら、だって気になったんだもの。諏訪さんはいるってもう聞いちゃってたし、橘さんはどうなのかなって。いなければ貴方の相手にどうかなって思ったのよ」
「何バカなこといってんだよ」
社長は呆れたようにため息をついた。
まぁ、母親としての圭子の気持ちはわからなくもないが。