気がつけば愛でした
圭子が帰国している間、いつ会社に来るかわからないため、高柳は営業課で大人しくしていた。
そのため、静奈は高柳の姿を会社でみる機会が減った。
以前は会わないように避けていたくらいなのに…。
別に外でも会ってるし、寂しがることはないのだが、何だか物足りなさを感じるのだ。
「ハァ…」
資料倉庫に誰も居ないことをいいことに大きなため息がでる。
「どうした?ため息なんて」
ガチャっと扉の開く音とともに聞こえた声にハッとして振り返る。
「律!」
扉の前にはポケットに手を入れて立つ高柳が微笑んでいた。