気がつけば愛でした



「どうしたの?」

「ん?ここに入っていく静奈の姿が見えたから」


だから来てくれたというのか。


嬉しくなって思わずにやける。


別に社内恋愛を禁止してるわけではないし、2人のことを秘密にしているわけでもない。


でも仕事中に堂々と会うのははばかれるため、こうして会えるのは純粋に嬉しかった。



「資料探してたのか?」
「うん。律、仕事どう?」

「あぁ、まぁまぁかな。ごめんな、残業続いてて」



高柳は申し訳なさそうに静奈の頭をなでる。



「大丈夫だよ。今は忙しい時期ってわかってるから」



そう明るく言ったつもりでも語尾は小さくなってしまう。




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