気がつけば愛でした
「昼前だからって嬉しそうだな。」
低く聞き覚えのある声に身体がピクンと震える。
人間の反射なのだろうか。振り向きたくないのに自然と身体は声の方へ向きを変える。
「忙しそうですね。秘書課は。」
朝と同じイヤミ。
その声の主はやはり…。
「高柳…さん…」
静奈の後ろには高柳がニコリともせず立っていた
「なんでここに…」
心の呟きが思わず口から出てしまった。
その言葉に高柳が眉を潜める。
「随分な言い方だな?俺に対して。」
「あ、いや、その…。なんで営業課の人がここに、と思って…」
威圧感のある言い方に慌てて言葉を繋ぐ。
完全に今朝のことが静奈の弱みになってしまったようだった。