気がつけば愛でした



「何か他にあるのかと思って」

「あの…例えば、先日の漏洩問題についてとかでしょうか?」



静奈がおずおずというと圭子は首を振った。



「もうその話は詳しく聞いたもの。…なんか隠してるのよね」



母親って侮れないな。


静奈は素直にそう感じた。いくら久々だからといっても母親は母親なのだな。

子どもの様子に敏感だ。


「橘さん、何か知ってる?」



知っている。


しかし言えないからわからないと首を振るしかなかった。



「…そう」



納得してない様子の圭子だがそれ以上は何も突っ込んでは来なかった。



圭子がアメリカに戻るまであと3日。



どうかこのまま何も知らずにアメリカに戻ってほしいと思った。





しかし、



嫌なことは起きてしまうものだ。







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