気がつけば愛でした



――……



翌日。


それは突然だった。



外回りから帰ってきた高柳と、外出するため社長に同行した静奈はロビーでばったりと会ったのだ。



「よぅ、久しぶり」



高柳の姿に社長はにっこり笑う。



「お久しぶりです。外出ですか?」

「あぁ。夕方には戻る。今日こそは静奈ちゃんと会えるようにしてやるから」

「しゃ、社長!」



静奈や高柳に向かってニンマリ笑う。

なぜか昨日、静奈が圭子に誘われたことで高柳に会えなかったことを社長は知っていた。


そんな社長に高柳は軽くため息をつく。



「そうして頂けると有り難いですね。」

「そんな顔すんなって。律には本当、申し訳ないと……」



そう言葉の途中で社長が不自然に言葉を切って固まる。


不思議に思った静奈がその視線を辿り、ハッとした。



「何…」



2人の様子に眉を潜めて高柳が振り返る。



そこには





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