気がつけば愛でした
営業課は6階にあったはず。まさかこんな所でばったり会うなんて思わなかった。
そんな静奈の考えに気が付いたのか、高柳は「別に。」と答えた。
その態度にムッとしたが、強気に出られず、落ち着いて一言「そうですか。」と答える。
実際は印刷室にいたのだろう。 資料と思われる書類の束がその手にあった。
「今日、社長は?」
「…1日外出なさっています。」
「ふぅん…」
ふぅんって…それだけなら聞くなよ。
そう思ったが、今回は言葉にしなかった。
「なら、定時に終わるんだよな?」