気がつけば愛でした
そして「ふふっ」と圭子は可愛らしく笑った。
「貴女から…今までのこと、彼に謝っておいてほしいの。」
「私からですか?」
「えぇ。私だとまた彼に酷いことを言いそうだから。」
「でもなぜ私なんですか?社長でもいいのでは?」
「息子には言いにくいのよ。私も変なプライドがあるし。だから…」
“ね、お願い”
圭子が真っ直ぐ静奈の目をみて頼んだ。
圭子は自分の高柳に対する言動に後悔していたのだ。
ただの嫉妬からくる八つ当たりだともわかっていた。
しかしまだ割り切れない嫉妬があるのも事実。
あえばまた何を口にしてしまうかわからない。
だから後悔している気持ちだけは静奈に託そうとしたのだ。
高柳の大切な人である静奈に。