気がつけば愛でした
意地悪でした
「ない!ない!」
静奈は課へ戻るなり、デスクの下から鞄を取り出し、ゴソゴソと中を漁る
「どうかした?」
貴子が不思議そうに静奈を見る。そんな静奈は机に手を付き、ガックリとうなだれた。
「携帯…忘れた…」
そう、高柳の家に。
どうして?いつ、携帯を鞄から出して置いて来ちゃったの!?
必死に記憶を辿るが、それも虚しく、覚えている筈がなかった。
家に帰ってからシャワーを浴び、着替えて慌てて出て来た。鞄は昨日と同じで中身は弄っていない。
つまり、間違いなく携帯は高柳の家にあるということになる。
「やって…しまった…」