気がつけば愛でした
「好きってのは言いすぎかもしれないけど、気になる女の子であったのは確か。だから諏訪さんに呼ばれて居酒屋に行ったとき、静奈がいてびっくりした」
多分、初めて静奈が高柳に介抱され家に泊まったときのことを言っているのだろうとわかった。
高柳は言葉に詰まるわけでもなく、淡々と話していく。
「これは何かしらのきっかけになると思った。まぁ、まさか抱きつかれて寝られるとは思っていなかったからかなり困ったけど」
静奈が“その節は…”と呟くと背中で低く苦笑する。
「キスしたのも、意地悪したくなったから。」
「やっぱり…」
「何?」
静奈の呟きは聞こえなかったようで慌てて首を振る。