気がつけば愛でした



「お前を見ていると意地悪したくなった。からかいたくなった。」

「小学生みたい」



笑う静奈に「男はみんなそんなもんなんだよ」と笑う。



「好きだと思うようになったのは、熱出した時あたりかな」

「え…」

「俺、父親はあんなだったし、亡くなった母親はいつも忙しそうに働いてたから何かあっても自分でなんとかしようとしちゃうんだ」



それは静奈もよくわかっていた。


高柳は大丈夫じゃないときに限って“大丈夫”と笑うのだ。



「だから純粋に静奈が心配してくれて嬉しかった。甘えていいっていわれたのは初めてだったんだ」



友香と付き合っていたときも、お互いサッパリとした付き合い方だったため、自分のことは自分で行っていた。


甘えれることはあっても、甘えていいと言われることはなかったし、高柳自身考えてもいなかったのだ。



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